同じ街でも所変われば、視点も変わる。こんな場所に港があったのかと
中途採用の9月から船に乗ることになった。
その時は、夕方日暮れから漁に出て、真夜中には終了する巻き網漁に出ていた。
体験した漁とはまた別の漁で、肉体的にとてもきつかった漁法。
港から出て、魚探に反応があれば、ものの10分ぐらいでいきなりやりだす。
最初は網で囲った魚をでかいタモで氷間に放り込む作業をする(イケマとかもいうが)
それが終わったら、網の回収、これを人力でやるからとてもしんどい。
”まあ、最初は体も慣れてへんから、そんなもんやろ”
”そんなことよりも、もやいをマスターせんとな”
もやい?
もやい結びとはちがうタツにかけるロープテクニックである。
船の用語とか方言なのかと思うくらいにいろいろ名称があって、それを覚えるのに苦労した。
ちょっとした休憩とか、漁の合間を見つけてはもやいを練習した。
体の向き、利き手関係なく、迅速かつ安全にできるかどうかを
ちょっとしたロープの持ち方の違いで指を挟んだりしたら、軽く指が飛ぶと冗談交じりに言われたが、ほんとに油断してるとやばい。波の揺れ、船の重さ、もろもろいかなる条件でも出来るようにと
この頃は休みの日には小型船で刺し網漁にも出ていた。
これは2人だけのこじんまりとした漁だったが、すべてが少人数で完結できるからいいなと思っていた。