野生イノシシにワクチン、農水省決定 豚コレラ感染拡大受け

岐阜、愛知両県で家畜伝染病「豚コレラ」の感染が広がっている問題で、農林水産省は22日、野生イノシシが感染を媒介しているとして、イノシシへのワクチン使用を決定した。イノシシに豚コレラワクチンを投与した事例は欧州ではあるが、日本では初めて。ワクチンは国内では生産されていないため、ドイツから輸入し、3月以降、岐阜、愛知両県の野生イノシシの感染が確認されているエリアでワクチン入りのえさをまく。

今回の措置が豚コレラ封じ込めにどこまで効果があるかは、専門家の間でも議論が分かれる。日本からの豚肉輸出に影響する豚そのものへのワクチン投与は見送った。

 吉川貴盛農相は同日の記者会見で「(豚コレラに感染した豚の)10例目の発生などを受け、そういう時期に来ていると判断した」と、野生イノシシへの豚コレラワクチン使用を正式に表明した。

 豚コレラをめぐっては19日、岐阜県瑞浪市の養豚場で国内10例目となる感染事例が確認された。3キロほど離れた場所でイノシシに陽性反応が出ていた。このため、10例目は、感染したイノシシがウイルスを運び、豚に感染した可能性が高いと判断した。豚コレラに感染したイノシシは21日現在、岐阜県で170頭、愛知県で10頭確認されている。

 ワクチンをめぐっては日本養豚協会が、イノシシの春の出産シーズン前に投与するよう求めていた。妊娠中に投与すれば、子どもにも一定期間、抗体ができ、感染拡大を防ぐ効果が期待できるとしている。

 豚コレラの終息を急ぎたい同協会は、飼育する豚へのワクチン接種も要望しているが、農水省は豚肉輸出に影響するなどの理由で見送った。吉川農相は「(豚への投与は)極めて慎重な対応が必要だ」と述べた。

 農水省はドイツから12万個を緊急輸入。愛知、岐阜両県と協力して、早ければ3月中旬にも該当エリアの野生イノシシへの投与を始め、数年間続ける。愛知県豊田市の農場からウイルスに感染した子豚が出荷された長野、滋賀、大阪府県では野生イノシシの陽性事例がないため、投与しない。

https://mainichi.jp/articles/20190222/k00/00m/040/113000c

農水省HP-豚コレラについて

http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/index.html

(HP内画像抜粋)

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