茸師の部屋33

茸師の部屋32

「薬師で歌人でもいらっしゃいますオオセミタケさんです」

「よろしくお願いします」

「あなた、冬虫夏草の一種なんですってね、わたしく冬虫夏草の事ぜんぜん分からなくて(笑」

「蝉の幼虫なんかに寄生して、この時期に出てくることがしばしばあります」

「あなたが御詠みになった、あの歌・・・」

「『これやこの~(省略) あうさかの関』ですか?」

「あれはどういうお気持ちだったの?」

「ちょっとした灯火ですかね、無駄な事にも笑いの一刺しをと、老婆心ながら」

「それで、あなたのこと『クスクス法師』って、世間では言われるのね」

「時代が変わっても、人の心はそう変わらないものです」

「後世(ジェネリック)って言い方は変ですけど、その後にもいいものが出てきましたね」

「何かしら?」

「『夏草や つわものどもが 夢の跡』」