日立造船は3日、日本水産および日水子会社の弓ヶ浜水産と、大規模なマサバ循環式陸上養殖の共同開発に着手することで合意したと発表。
この共同開発は、ニッスイおよび弓ヶ浜水産の保有するマサバ養殖の知見と、日立造船の保有する水処理技術を組み合わせて、鳥取県米子市に建設予定の実証施設を拠点に行われるようです。
マサバの海面養殖では、一般的に、水温の変動や気候、病気などのリスクが高いという問題が指摘されています。
本共同開発が採る循環式陸上養殖システムでは、地下海水(地下から汲み上げた海水に近似する塩分を含む地下水)の利用と、日立造船の水処理技術を活用した循環水処理システムにより、水温・水質を人為的にコントロールし、マサバの生育に最適な環境を保つことが可能です。外海の海水を使用しないため、アニサキスなどの寄生虫や魚病などのリスク低減が期待されます。自然環境に左右されないマサバの安定供給が可能になります。■本実証施設で取り組む課題
①飼育水中の固形物除去の効率化
システム内で発生する残餌、排泄物などの固形物は、飼育水の水質悪化の要因となるため、速やかに系外に排出する必要があります。日立造船の流体シミュレーション技術(水槽内の水流をコンピュータ上で再現する技術)を活用し、固形物除去の効率化を目指します。②硝化処理の効率化
養殖魚から排出される排泄物や残餌由来のアンモニアは、養殖魚にとって毒性が高いため速やかに分解除去が必要です。この硝化処理に、日立造船が開発した、工場排水などの生物処理で多くの実績を有する浮遊性ろ材を活用した硝化処理システムを適用して効率を上げ、硝化設備のコンパクト化、イニシャルコストの低減を目指します。③ランニングコスト低減の為の省エネ化
システムの効率的な運転手法の開発や運転制御の導入等により省エネを図り、電気代等のランニングコスト低減を目指します。④生産技術、養殖管理技術の確立
養殖魚にとって最適な生育条件(水温・水質・水流・光周期等)を見出し、それらを人為的にコントロールする生産技術・管理技術を開発し、高い養殖生産性を実現することを目指します。今回の両社の共同開発を通して、システム全体のパッケージ化により競争力のある陸上養殖システムを構築して、国内での循環式陸上養殖の産業化を目指します。これによって持続可能な水産物の安定的供給への寄与を狙います。
https://www.hitachizosen.co.jp/news/2019/04/003257.html
昨今のサバ缶ブームといい、サバも大規模養殖化の流れか。