「映画『華麗なる菌族』などの作品に出演されていて、女優でファッションデザイナーとしての顔もお持ちのウラベニガサさんです」
「宜しくお願いします」
「今日はまたすごいお召し物ね」
「そうですか?普段よりも少し地味だと思いますけど」
「お仕事で仏蘭西に行かれてたとか」
「わたくしの姉妹が宝石商を営んでいまして、それのお手伝いを」
「でも大変じゃなくって?」
「そんな事ありません、好きでやっていることですから」
「西洋では『綺麗な華には棘がある』という諺がありますけど、私どもの世界では『美しい菌には毒がある』という言い伝えが御座います」
「ただ、わたくしは毒を持ち合わせておりませんし・・・」
「食毒をする方も多くはありません」「あら、そうなの」
「ただ、偶にわざわざ立ち止って、傘裏を覗いては紅の具合を楽しみにして下さる好事家がおられるぐらいで(笑」
「そういうものじゃありません?」